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2005/08/03

「オールドタウン」の再生

 近年、多摩ニュータウンや千里・泉北ニュータウンといった大都市郊外ニュータウンの「オールドタウン」化が進んでいるという。かつてニュータウンが造成された際に入居した団塊の世代がいっせいに定年を迎え、行くところもないまま地域にたまっているというのだ。特に初期に作られたニュータウンには、商業・娯楽施設もほとんどなく文字通り寝に帰るだけの「ベッドタウン」だったところが多い。しかもニュータウンは同時期に分譲されたところは同じ価格帯なので、ライフステージ・収入や社会的階層が均一であることが多く、そのためひとつの地域内では子供の入学・進学も退職もすべてが同時期に起こってしまうのでより問題を深めている。しかも、彼らは出身の地方へ帰るわけではなく、また社会に出る年齢に達した子供も両親を世話しながら(あるいは両親に代わって)地域に住み続けるのではなく、両親を残して独立し都心に近い高層マンションなどに住むことが多い。このままでは、残された高齢者たちがいなくなってしまい、地域はゴーストタウン、いやむしろかつてあった自然も地域社会も残らない『焼き畑ニュータウン』になってしまう。行政も生徒が少なくなった小中学校を福祉や地域交流のための施設に建て替えるなど努力はしているが、思うように成果は上がっていないようだ。さらに初期に建てられた団地は5階建て以上でもエレベーターがないなど、バリアフリーの面で現代の基準に達しておらず、年老いた彼らにとって苦しみをより強めることになっている。

 しかし、郊外にも若者がいないわけではない。郊外開発が進むにつれて、それまで都心にあった大学がより広い土地を求めて郊外に移転・新設されてきた。それらはニュータウンの周りに点在し、中には全国から学生を集める有名大学もある。しかし、学生は大学の周りにはほとんど住んでいない。すでに開発され尽くしたニュータウンには新たに学生向けのアパートやワンルームマンションを建てる余地などなく、あるとすればそこはニュータウンの中心から遠くはなれたところくらいのものだ。しかも学生は大学よりもアルバイト先や遊び場に近いことを求めており、大学から遠く離れても都心や地域中心都市に住むことが多く、大学側も学生の人気を得るため青山学院大学を筆頭に「都心回帰」を進めている。消費力のある学生や若い世代がいなくなれば、学生向けのサービス業だけではなく相当数の量販店やコンビニが撤退し、郊外ニュータウンは経済的にも大きな打撃を受けることになる。この最悪の事態を防ぐすべはないのだろうか。

私が多摩市のような郊外ニュータウンの市長ならば、大学と提携してニュータウン内に学生の住む場所を作りたい。まず、高齢者にとっては住みづらい古い団地を、学生アパートに改装する。バリアフリー等を抜本的に改善するのが無理でも、学生が住むのならばそれほど気にしなくてもいいし、すでに減価償却も済んだ建物だから家賃も相当安くできる。また、福祉系大学などの学生は高齢者の家に「下宿」させるのもいいだろう。高齢者にとってはいざというときの備えになり、学生は生活コストがさらに安くなる。そのうえ、世代間コミュニケーションによって双方得るものは大きいはずだ。さらに、地域内に起業やNPOの支援施設を設けたい。これまで、学生・研究者向けのベンチャー支援と、高齢者向けの起業・NPOはそれぞれ別々の政策として行われることがほとんどだったが、学生のアイデアと定年退職者・主婦の知識・経験が交わることで、若者向け・高齢者向けの双方により成果を上げるベンチャービジネスやNPOが生まれるだろう。

私が郊外ニュータウンの市長ならば、これらの政策によってニュータウンにこれからも住み続けざるを得ない高齢者の満足度を高めるだけではなく、若者にとっても刺激があり、かつそれが学校や企業にとっても高い魅力となるようなまちを作り上げたい。

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